「引っ越しするので引き取ってほしい」「子犬・子猫が生まれてしまったので何とかしてほしい」「近くにかわいそうな犬(猫)がいるので、そちらで助けてほしい」などという相談が会に多く寄せられますが、動物愛護団体は動物の引取り所ではありません。当会には収容施設はなく、ボランティアは皆、すでに多くの犬猫を保護しているため、現状としてこれ以上新たな引き取りはできないことをどうかご理解ください。
中には保護や里親探しを活動目的にしている所謂「動物保護団体」を紹介してほしいというご相談もありますが、残念ながらシェルターを持っているいないに関わらず、そういった団体の多くはすでに許容頭数を超えており、保護ができない「保護団体」となっているのが現状です。
当会といたしましては、他団体に負担を押し付ける行為はもちろんのこと、「保護」に値する施設環境かどうかの判断も含め、無責任なご紹介はできかねます。(限界を超えた保護はかえって動物たちを不幸にするだけです。)当会の活動目的は不幸な犬猫が生まれるのを未然に防ぐことであり、困っている方には里親探しのノウハウを提供したり、低料金で不妊手術ができる動物病院を紹介するなど、相談者ができるだけ自力で解決できるようサポートしています。
里親探しはその気になれば誰にでもできます。「もし、もらい手が見つからなかったらどうしよう」と悩む前に、まず下記の方法を参考に、徹底的に里親探しをしてみてください。
1.友人知人、親戚にあたる
まずは身近な人の中で犬や猫を欲しがっている人を探しましょう。また、その人以外にも、思い当たる人がいたら連絡をくださるよう頼んでおきましょう。
2.ポスターを貼る( 見本
)
商店街、スーパー、銀行、郵便局、動物病院の掲示板など、お願いする所はたくさんあります。できるだけ人通りの多い所、目立つ所に貼りましょう。
3.新聞、タウン誌、地元のミニコミ紙の広告等を利用する。
「犬猫の里親募集」コーナーなどを設けている媒体を捜しましょう。(有料の場合もあります。)
4.里親会などに参加する
動物愛護団体によっては里親会などを開いている所もあるので、前もって詳細を聞いた上で申し込んでみましょう。
5.インターネットの情報サイトを利用する
インターネットには里親探しのサイトが多数あります。複数の里親サイトに登録して、情報掲載をしてみましょう。
また掲載されたらまめにメールをチェックすることを忘れないでください。(サイトによって掲載条件があります。よく読んで参加しましょう。)
とにかくもらってくれればいいという安易な里親探しは、犬や猫を確実に不幸にします。
相手の身元を確認するのはもちろんのこと、断られるのが怖いあまりに里親としての資格があるかどうかも判断せずに渡してしまわないよう十分注意してください。
良い里親さんとは一言で言うと責任感のある人に尽きます。
犬や猫を欲しがる人の中には、動物をおもちゃのように使い捨てにする人や、ストレス解消に虐待する変質者や動物実験用などに売っている人もいます。渡す時は信頼できる人かどうか事前調査の上、必ずご自宅まで届け、誓約書を交わしましょう。(
誓約書例 )(
里親希望者へのアンケート例(Word版))
また、新たな不幸な犬猫を生み出さないためにも、必ず不妊・去勢手術を行ってから里親に出しましょう。(子犬、子猫の場合は、手術月齢に達したら必ずどちらかが手術をするよう、取り決めをしてください。)
1.家族全員が動物を飼うことに賛成していること
家族に犬猫が嫌いな人、また、喘息やアレルギーの人がいる場合は、途中で飼育を断念する可能性が高いので避けてください。
ご家庭に小さなお子さんがいる場合には、なるべく生後3カ月以上の犬猫を勧めましょう。(子供のおもちゃにされて、死んでしまう犬猫もいます)
在宅時間が一日どれくらいあるかも確認しましょう。
また、すでに犬や猫が3匹以上いるのに、新たに動物を欲しがるような方は避けてくだい。
2.持ち家であること
分譲マンションの場合でもペット禁止の規約がないことを必ず確認してください。
たとえ飼育可の賃貸アパートや借家の場合でも、建物の持ち主、管理組合、大家等の都合で途中から飼えなくなるケースが多々あります。 犬猫の居住スペース、周辺の環境などもあわせて確認してください。
(転勤や引越しの可能性がある人は、必ず引っ越し先へ連れていけるかどうかの確認をとりましょう)
3.一人暮らしや高齢者、同棲中のカップルなどは避けること
日中のほとんどを留守にしていたり、飼主が病気などになった時に誰も面倒を見てくれる人がいないというのは動物にとって大変不幸なことです。
また先行きが不安定な若いカップルなども後々トラブルになりやすいので避けてください。(別れた、子供ができた、などの理由で手放す人が多い)
なお、老夫婦などの場合は、必ず何かあった時に面倒を見てくれる人がいるかどうか確認した上で、年齢にあったおとなしい大人の犬猫を勧めましょう。
4.経済的に余裕がある人
1頭飼育するのに、餌代や病気、怪我などの治療費、狂犬病予防ワクチンと登録、フィラリア予防、伝染病予防ワクチン等で犬は年間20万円以上、猫は伝染病予防ワクチンやトイレ砂代等も含め年間10数万円以上がかかると言われています。
また子犬子猫の場合は時期が来たら必ず不妊去勢手術が必要です。愛情があっても、飼える状況かどうかは別問題です。犬猫の一生に関わる大事なこととして、経済状況は冷静に判断してください。
5.犬や猫の習性を理解し適正な飼い方ができる人
始めのうちだけかわいがり、飽きるとつなぎっぱなしで水やエサもろくにやらずに放置している飼い主が大勢います。(ネグレクト・虐待例、過剰多頭飼育者とは)
犬なら社会で生活するために必要な基本的しつけに加え、朝夕の散歩やブラッシングなどの体の手入れ、猫なら毎日のトイレの掃除や十分に上下運動ができる環境の確保など、健康管理も含めて常に気配りできる方かどうか判断しましょう。
6・最期まで飼い主としての責任を果たせる人
どんなに気をつけていても、人生には予期せぬことが起こる場合もあります。
飼うときは手放すなんてありえないと思っていても、状況が変われば、真っ先に切り捨てられるのが動物たちです。
万が一、飼えなくなったときはどうするのか、誓約書を交わす際は、そのことも必ず取り決めにいれてください。(
誓約書例)
(譲渡した側(または会)が引き取る、飼い主が責任を持って里親を探す、もしくは前もって引受先を決めておくなど)
当会では、様々な理由から引き取り先が見つからず、どうしても生かす方法がない場合は、動物病院での安楽死を一つの選択肢としてお話しています。(飼い主の責任と安楽死について)
安易な里親探しや、遺棄がどれほど動物たちを不幸にしているか、現状をよく理解していただき、飼い主責任についてきちんと考えることができる方に譲渡しましょう。(遺棄された犬の最期)
7.その他
今まで犬猫を飼った経験があるかどうか、ご家族の誰が責任を持って世話をするのかなどについても確認が必要です。
特に以前飼ったことがある方にはその犬猫が現在どうなっているかを必ず聞いてください。(死亡理由や行方不明の理由など)
今現在飼っている場合は、先住猫(犬)に不妊手術してあるかどうかも重要なチェックポイントです。
犬は基本的に室内飼い、猫に関しては、事故や病気、糞害などを防止するために必ず完全室内飼いを条件としてください。
以上、必要なチェックポイントを挙げました。里親探しとは随分大変な作業だと思われるかもしれませんが、そこにいる犬猫の一生がかかっています。噛み癖がある、介護が必要なほど高齢、重い障害がある、人に慣れていないなどの場合を除き、本気で探せばいつか必ず良い飼い主さんは見つかります。縁があって関わることになった彼らの幸せのために、どうか悔いのないよう努力をしてくださることを心からお願いいたします。